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zoom RSS 津川しょうごNews2011年8月20日号

<<   作成日時 : 2011/08/27 01:51   >>

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重要性増すボランティア支援
〜仮設住宅団地の「絆再生」に向けて〜

 岩手では体育館などの避難所に避難していた被災者の方々が仮設住宅などに移り、災害復旧から復興へとステージが替わりつつあります。道路や堤防といったインフラについても、緊急的な応急復旧から本格的な本復旧へと進んできました。瓦礫の撤去についても全体として既に8割以上が一時仮置き場に搬入済みとなり、震災直後をご覧になった方が見れば、随分と作業が進んでいることを実感して頂けると思います。各自治体においてもこれからのまちづくりを決める復興基本計画等の策定作業が佳境に入りつつあり、未来に向けた課題解決が議論の中心になりつつあります。

 そんな中、これまで多くの被災者を支えて頂いてきたボランティアについて、そろそろその役割を終えつつあるのではないかというご意見をうかがうことがあります。確かに今後、被災者の方々を行政などが直接雇用したり、被災者を雇用している地元企業に業務として発注することにより、これまでボランティアの方々に担って頂いていた作業を引き継いでいくことは重要です。被災地では雇用が失われており、国や県の支援事業においても可能な限り地元の雇用につなげることを念頭に置いて実施されています。しかしその一方で、内容によっては是非ボランティアの方々の力をお借りしたいものもまだ沢山あり、そしてその重要性はむしろ増していると私は考えています。

 まず必要なのが、仮設住宅団地の生活環境改善に関する事業です。
 仮設住宅は生活の場ですから、当然のことながらそれぞれの生活スタイルに合わせてニーズが異なります。当然共通する課題もありますから、国としても様々な支援策を用意してはいますが、実際の運用に関しては現場ごとのニーズに合わせた弾力的な運用が不可欠となります。平時なら自治体に弾力運用をお任せすれば済むようなことでも、今のような非常時においては事務量が処理能力を超えているため、上手く運用できないケースが少なくありません。よく見られるのが新たな支援策に関する情報が、現場に伝わらないケースです。

 一つ例をあげると、応急仮設住宅に入居できる期間について、原則2年という規定がありますが、実際には延長が可能となっています。特に今回は震災の規模に鑑み、被災者の方々に「2年で追い出されるかもしれない」という無用な不安を抱かせないよう、2年を過ぎても住み続けられる旨をお伝えいただくように、自治体にお願いしてありました。ところが入居者の中には従来の原則である「2年で出なければならない」という従来の原則しか伝わらず、極度に不安を感じていらっしゃる入居者がいるという情報がありました。そのため、2年以上入居が可能な旨の通知文書を各自治体にお渡しし、改めて被災者の方々にお知らせいただくよう要請したところですが、このような例はなかなか無くなりません。これは、国や県の支援策が現場に伝わらないという問題であると同時に、現場のニーズが行政側に伝わっていないという問題でもあります。

 そこで、問題の本質は地域の絆が失われコミュニケーション不足に陥っていることにあると考え、その対策として、仮設住宅に入居されている方々が集える「場」の提供ができる支援策を作りました。この仕組みは、阪神淡路大震災などで息の長い支援を現場で続けてきたNPOの方々などから提案され作られたものです。これまでも仮設住宅団地を造成する際に、一定程度の規模以上の場合には談話室等を作ることがルール化されてはいましたが、単にハコモノを作るだけでは絆は再生されません。新しい支援策では、ハコモノの確保に加えて、人々が集える事業全体を支援することとしました。その事業の中心になって頂くのがNPOなどのボランティアの方々です。過去には、被災者の方々が集まって、支援して頂いた方に感謝のしるしとしてお渡しする品物を作った例などがあり、みんなでその作業をする中で、情報交換をし、お互いの悩みや不安を相談し合い、絆が深まっていったといいます。自治体と連携しながらも行政では思いつかないような自由な発想で事業を展開して頂き、多くの仮設住宅団地に絆が再生されることを期待しています。

 他にも、買い物や通院・通学などに不可欠な交通手段が不足している団地が多いことから、従来からあった支援事業を要件緩和し、地域のニーズに合わせたデマンド交通の導入などを国から自治体に具体的に提案するなどしていますが、これも地域の絆が弱いままでは上手く機能しない恐れがあります。これまで、デマンド交通は一般のバス会社などが不採算を理由に路線から撤退した地域などで導入されてきました。地域の住民が話し合いを重ね、よりきめ細かなニーズを調査・調整することなどで成功した例はありますが、行政が先頭に立って導入すると案外苦戦する例が多いのが現実です。従って今回も、仮設住宅団地の住民の皆さんをしっかりと巻き込みながら、「どこに買い物に行きたいのか」「何時ころ病院に行くのか」といった細かいニーズに対応しなければ、いざバスを走らせても、必要な時にはバスが来ず、折角来た時には誰も乗らない、といった事態になりかねません。この問題も、地域の絆が再生することで解決することが可能だと考えています。

 そして最重要視していることは、入居者の皆さんが部屋に閉じこもることによる二次被害を発生させない事です。避難所では厳しい中にも自然にお互いに助け合い励まし合うことが出来ていても、仮設住宅に入ってからではそれが困難になるケースは珍しくありません。今まで以上に意識して絆を再生することが急務です。

 これまで同様に、瓦礫の分別や側溝さらいといった作業もまだまだ必要ですが、これからは特に、地域の絆を再生させることや、さらに多様化するニーズを正確に丁寧に把握するため、ボランティアの方々の変わらぬご支援を、無理のない範囲で継続して頂けますよう、よろしくお願いいたします。

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